平岩康佑という男を知っているだろうか?
「eスポーツにおいて必要なものは何か?」と問われたら何を思い浮かべるだろう。
魅力あるプレイヤー
誰もが夢中になれるゲーム
華やかな大舞台
高度な読みや駆け引き
これらはもちろん必要だ。異論はない。
しかし、それらを正確に・感情を乗せて観客に届けるための声が無くてはならない。それを実現するのが実況者だ。
国内eスポーツシーンで大会を観戦していると、タイトルは違っても聞き覚えのある声に出会うことがある。
その声の主が、eスポーツキャスター・平岩康佑氏だ。
『Apex Legends』や『VALORANT』、『League of Legends』、『Shadowverse』、『ストリートファイター6』などジャンルを問わず実況を担当し、日本のeスポーツファンであれば一度は耳にしたことがある存在と言えるだろう。
しかし、なぜここまで多くのタイトルで実況を任されているのだろうか。
スポーツ実況で培った経験
平岩氏は2011年に朝日放送へ入社。
プロ野球、高校野球、Jリーグ、駅伝など数多くのスポーツ実況を経験し、その実況力は高く評価されていた。2017年には高校野球実況でANNアナウンサー賞優秀賞を受賞するなど、スポーツ実況の実績を積み重ねている。([フェリシモ][1])
しかし2018年、大きな決断を下す。
朝日放送を退社し、日本では前例の少なかった「eスポーツ実況」の世界へ飛び込んだ。
韓国でeスポーツ大会を観戦した際、会場を埋め尽くす観客の熱狂と競技として成立しているゲームの姿に衝撃を受け、「この世界で仕事がしたい」と感じたことが転機だったという。([オリコンニュース(ORICON NEWS)][2])
日本初のeスポーツ実況専門会社を設立
退社後は株式会社ODYSSEYを設立。
当時、日本ではeスポーツ実況だけで活動するキャスターはほとんど存在しておらず、自ら道を切り開く形となった。
現在では国内最大級のeスポーツ大会やプロリーグで実況を務め、日本のeスポーツ実況文化を築いてきた存在の一人として知られている。([BS朝日][3])
ジャンルを超えて実況できる希少な存在
現在のeスポーツは、
- FPS
- MOBA
- 格闘ゲーム
- RTS
- カードゲーム
- スポーツゲーム
など、それぞれ競技性が大きく異なる。
実況者にはゲームごとのルールや戦術、選手の特徴を理解したうえで、試合の展開を瞬時に言語化する能力が求められる。
彼を語る上で、ひとつひとつのゲームに対する理解度の深さにはいつも驚かされる。
eスポーツで取り扱われるゲームというのは、アップデートが頻繁に発生する。
今の常識が来月通用することは限らないのだ。
だからこそ、たった一つのゲームを実況レベルに上げることは簡単なことではない。
だが、彼はくつものゲームを深く理解し、私達に届けているのだ。
瞬時に試合の状況を言語化する彼の背景には、ゲームに対する大きなリスペクトと努力を感じる。
実況は「試合を見る人」を増やす仕事
eスポーツでは、実況は単に試合を説明するだけの存在ではない。
初めて観戦する視聴者にはルールを分かりやすく伝え、長年のファンには選手の背景や戦術を届ける。
つまり、競技の魅力を「翻訳する」役割を担っている。
平岩氏は実況だけでなく、イベント運営や講演活動、eスポーツの普及活動にも積極的に携わっており、競技人口だけでなく観戦文化の発展にも力を注いでいる。([法政大学][5])
日本eスポーツ界を支える”伝える力”
プレイヤーが試合を作る存在なら、実況者は試合を物語として届ける存在だ。
多様なタイトルで実況を担当し続ける平岩康佑氏は、日本のeスポーツシーンを支える「語り手」の代表格と言えるだろう。
競技人口や大会規模が拡大するなか、選手だけでなく、実況者や解説者の存在もeスポーツ文化には欠かせない。平岩氏の歩みは、日本におけるeスポーツ実況という新たな職業の可能性を示した一例であり、今後もその活躍に注目が集まりそうだ。



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