フロム・ソフトウェアの新作『The Duskbloods(ダスクブラッド)』。
Nintendo Switch 2向けに2026年発売予定の完全新作で、最大8人が参加するオンラインマルチプレイヤーゲームだ。
フロム新作。吸血鬼。PvP。PvE。ボス戦。キャラクタービルド。
ここまで聞けば面白そうなのだが、発表当初から少し気になっていたことがある。
「で、結局これって本当に面白いの?」
『ELDEN RING』や『DARK SOULS』を期待すると、今回はかなり違う。『ELDEN RING NIGHTREIGN』とも違うし、いわゆる脱出系PvPvEとも違う。しかもオンラインプレイが前提だ。
ところが8月21日からネットワークテストが始まり、先行プレイ情報や宮崎英高ディレクターのインタビューが公開されたことで、その「よく分からなさ」の正体が少しずつ見えてきた。
そして調べれば調べるほど思う。これ、かなり面白いゲームになる可能性があるのではないか。
今回はゲームシステムをただ紹介するのではなく、「ダスクブラッドは本当に面白いのか?」という視点から考えてみたい。
そもそも「PvPvE」という説明がちょっと違った
『ダスクブラッド』について、まず認識を改めた方がいい部分がある。それが「PvPvE」という言葉だ。
宮崎氏自身、最初にPvPvEと表現したことについて「あまり正確ではなかったかもしれません」と語っている。
現在のゲーム市場でPvPvEと言えば、脱出シューターのような特定のゲーム形式を想像する人も多い。しかし『ダスクブラッド』は、それとは違うゲームだという。
実際、基本ルールを見るとかなり変わっている。
最大8人でゲームを開始し、プレイヤーは「美徳」と呼ばれる勝利点を集める。ネットワークテスト版ではラウンドが進むにつれて、
8人 → 8人 → 6人 → 3人
と絞られ、最後に残った3人が最終戦へ進む。
重要なのは、「一番強いプレイヤーが勝つゲームではない」ということだ。
「敵を倒す」だけでは勝てない
個人的に『ダスクブラッド』でもっとも面白そうだと感じるのが「美徳」のシステムだ。
美徳はいわゆる勝利点で、これを誰よりも多く集めることがゲームの大きな目的になる。ところが、その獲得方法が非常に多い。
- 強敵を倒す
- アイテムを集める
- チェックポイントを回る
- イベントへ参加する
- 儀式場を占拠する
- 特定条件を達成する
つまり、PvPが強い=勝てる、ではない。
宮崎氏も美徳について「PvPやPvEは美徳を得るための一手段でしかない」と説明しており、純粋なアクションスキルの比重を下げ、立ち回りや戦略でも勝利できるよう設計しているという。
これはオンラインゲームとしてかなり重要かもしれない。対戦ゲームは時間が経つほど上級者が強くなり、初心者が入ってきても何もできずに倒される。これが続けば辞めてしまう。
『ダスクブラッド』はそこを「戦闘以外でも勝利へ近づける」という仕組みで解決しようとしているように見える。
毎試合「物語」が変わる
もうひとつ興味深いのが「烙印」だ。これはキャラクターにロールプレイ的な目的を与えるシステムで、例えば「宿敵を倒す」という目的が与えられることがある。
さらに、「かつての恋人に花を捧げる」なんてものまである。場合によっては試合中に恋人を探すことになる。
相手を見つける。求愛する。相手が応じる。カップル成立。そして一緒に最終戦へ。
……何のゲームなんだこれは。
しかし、この「何のゲームなんだ」という感覚こそ、ダスクブラッドの面白さなのかもしれない。
普通の対戦ゲームなら、
敵を見つける → 倒す → 次の敵を探す
となる。ダスクブラッドでは、
敵を見つける → 「あれ、この人は自分の宿敵だ」 → 別のプレイヤーから同盟申請 → 一緒にボスを倒す → 恋人を探す
なんて試合になる可能性がある。同じマップでも、毎回違う出来事が起こる。これが本作の大きな魅力になりそうだ。
敵と突然「共闘」する
さらに面白いのが、プレイヤー同士の関係が固定されていないことだ。
試合中、他プレイヤーへ「同盟」を申請できる。成立するとお互いを攻撃できなくなり、相手が獲得したポイントの一部も共有される。
さらに最上級の強敵が登場するとレイドバトルが発生し、このときはPvPが禁止され、プレイヤー全員でボスへ挑む。さっきまで殺し合っていた相手と、「いや、今はそれどころじゃない。あいつ倒そうぜ」となるわけだ。
そしてボス戦が終われば、また敵になるかもしれない。固定された敵味方ではなく、その場の状況によって関係が変わる。ここは『ダスクブラッド』独特の面白さになりそうだ。
NPCまで育てて最終戦へ連れていける
仲間になるのは人間だけではない。本作には「眷属」というNPCが存在する。
回復してくれる者。バフをかける者。毒を撒く者。巨大な身体で敵を蹂躙する者。さまざまなタイプが存在し、契約して一緒に戦える。
しかも眷属にもレベルがある。つまり試合中、自分だけでなく仲間のNPCも育てていく。そして育てた眷属は最終決戦まで連れていける。さらに雑魚敵を吸血して、自分の配下にすることまで可能だ。
上手くいけば、大量のNPCを引き連れて最終戦へ――なんてことも起こり得る。こうなると、もはや普通のPvPとはかなり違う。
アクションはかなり派手
もちろんフロム・ソフトウェアなので、戦闘そのものも気になる。ここも従来作品とはかなり違う。
プレイヤーは超人的な能力を持つ「血族」。高くジャンプできるだけでなく、空中を駆けるような移動も可能になっている。そのため全キャラクターが「近接武器+遠距離武器」を標準装備している。
宮崎氏は今回のアクションについて「ダイナミック」と表現しており、その機動力に対応するため遠距離武器を標準装備させたという。マップも高機動を前提にした立体構造で、過去作ほど強い導線を作らず、自由に飛び回りながら何度もプレイすることを意識している。
「ソウル系のPvP」を想像すると、かなり違うゲームになりそうだ。
「本当に面白い?」と考えると不安もある
ここまで見ると非常に面白そうだ。しかし、まだ不安もある。
最大の問題は、ルールがかなり複雑そうということ。美徳、儀式場、同盟、眷属、烙印、レイド、キャラクタービルド、イベント、PvP、PvE――一つひとつは面白そうなのだが、全部同時に理解する必要があるとすれば、初心者にはかなり大変だ。
実際、宮崎氏も本作について「システムとルールで遊ぶ比重が大きく、新しい要素も多い」と認識しており、今回はそれらをユーザーへ伝えることを過去作以上に重視しているという。任天堂からも、フロム側が当たり前だと思っている部分について「分かりづらい」と指摘を受けているという。
これは結構重要な話だと思う。面白いシステムを大量に入れることと、プレイヤーがその面白さを理解できることは別だからだ。
「対人戦が苦手なフロムファン」は楽しめる?
もう一つ大きなポイントがある。フロム作品は好きだけど、PvPはやりたくない。そんな人はかなりいるはずだ。
ダスクブラッドは完全なソロゲームではない。宮崎氏も、ストーリー進行そのものがオンラインプレイを前提としていることを明言している。ここは人を選びそうだ。
ただし、対人戦が苦手なプレイヤーへの配慮はかなりされている。
- 美徳はPvP以外でも獲得できる
- ストーリー進行に勝利は必須ではない
- 製品版では、最終戦がPvPではなくボスとのPvEになるパターンも用意されている
さらにキャラクタービルドによって、その展開を希望することも可能になるという。
「PvPを完全に避けられるゲーム」ではない。しかし、「PvPが得意でなくても遊び続けられるゲーム」にはしようとしている。この違いは大きい。
製品版はネットワークテストよりかなり大きい
個人的に期待したいのが製品版のボリュームだ。
ネットワークテストではマップは1つ。しかし製品版では、さらに2つのマップが用意される予定。しかもすべて同じゴシック世界ではない。血族たちはさまざまな時代・場所に存在する「黄昏」へ召喚されるという設定で、それぞれ異なる世界観を持つ。
キャラクターについても、製品版では10体を大きく超える数を用意する予定。武器はキャラクター固有だが、血族技、権能、烙印、イベント発生率、見た目、さらにキャラクター自身の「運命」や「宿命」までカスタマイズ対象になるという。
今回公開されたキャラクターたちを見ても、巨大な武器を持ったゾーク、狙撃手レイラ、「血の手」のヤン、アルバート、タン・ラン、元老サミール=パトレス――かなりクセが強い。
この時点ですでに、「誰を使おう?」という楽しさはありそうだ。
結局『ダスクブラッド』は面白いのか?
もちろん発売前なので、断言はできない。
オンラインゲームである以上、マッチング、ゲームバランス、プレイヤー人口、キャラクター間の強弱、繰り返し遊んだときの飽きにくさ――こうした部分は実際にサービスが始まってみなければ分からない。
それでも、現時点で公開された情報を見る限り、かなり期待していいゲームだと思う。
理由は単純だ。既存の人気ゲームを真似しているように見えないからだ。PvPvEが流行っているから作ったわけでもない。実際、本作の企画は『ELDEN RING NIGHTREIGN』より前から始まっており、宮崎氏によれば『Demon’s Souls』『Dark Souls』時代から温めてきたオンライン要素のアイデアを活かした側面もあるという。
宮崎氏が本作を作った理由も極めてシンプル。「自分たちが面白そうだ、作りたいと思ったから作った」というものだ。
この言葉が『ダスクブラッド』というゲームを一番よく表しているのかもしれない。
フロムが「売れそうなゲーム」ではなく「やりたいゲーム」を作った
『ダスクブラッド』を調べていると、不思議な感覚になる。
最初は、「フロムがPvPvEに参入するのか」と思っていた。ところが詳しく見てみると違う。
敵を倒すだけでは勝てない。ボスと戦う。NPCを育てる。敵を仲間にする。プレイヤーと同盟する。宿敵ができる。恋人までできる。そして最後には三人で殺し合うこともある。
めちゃくちゃである。だが、だからこそ面白そうだ。
既存ジャンルに当てはめようとすると分かりづらい。逆に、「ダスクブラッドというゲーム」として見ればいいのかもしれない。
本当に面白いのか。まだ答えは出ていない。でも少なくとも、「ちょっと遊んでみたい」と思わせるだけの変な魅力は、すでに十分にある。
フロム・ソフトウェアが本気で作る「変なゲーム」。2026年、かなり気になる一本になってきた。








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