【何者。 #004】RIDDLE “egoist” 日本語でチームを導く韓国人IGLの歩んできた道

何者。

28歳、まだ世界を目指す。

APEXの競技シーンには、10代や20代前半の選手も数多くいる。

そんな世界で、28歳。

決して若手とは言えない年齢になっても、世界の舞台を目指し続けている選手がいる。

egoist(egoist222)。

韓国出身。

現在はRIDDLEのAPEX部門に所属し、母国語ではない日本語でIGLを務めている選手だ。

だが、彼のキャリアは最初から順風満帆だったわけではない。

いくつものチームを渡り歩き、日本の競技シーンへやってきた。

そしてSBI e-Sportsで世界大会を経験。

28歳となった現在、新天地RIDDLEで再び世界を目指している。

今回は、そんなegoistとは何者なのか。これまでの経歴と、RIDDLEで始まった新たな挑戦を追っていく。


28歳で競技の最前線に立つegoist

RIDDLEのインタビューで、egoistは自身についてこう紹介している。

韓国在住の28歳。APEXは3〜4年ほどプレイしており、現在はIGLを担当している。

28歳という年齢だけを見ると、競技シーンではかなりのベテランだ。だが、egoistから「キャリアの終盤」という雰囲気は感じられない。むしろ今も、

どうすればもっと強くなれるのか。
どうすれば世界で戦えるチームになれるのか。

そこを追い続けている。そして現在、その経験を必要としたチームがRIDDLEだった。


PANTHERAから始まった競技キャリア

egoistの競技キャリアをさかのぼると、2022年には韓国のPANTHERAで活動していた記録が残っている。その後Predatorなどを経て、一度競技シーンの表舞台から離れる時期があった。

そして大きな転機となったのが2025年だ。ORB GARDENに加入。ここからegoistは、日本のAPEX競技シーンで本格的に存在感を高めていくことになる。

さらに2025年5月、ORB GARDENからSBI e-Sportsへ完全移籍。加入時に残した言葉は非常にシンプルだった。

「良い結果のために最善を尽くします。」

この移籍から、egoistのキャリアは大きく動き始める。


SBI e-Sportsで掴んだ「世界」

SBI e-Sportsでは、egoistはチームを動かすIGLとして戦った。チームはALGSのAPAC Northで結果を残し、世界の舞台へと進んでいく。

egoistにとって、この世界大会での経験は単なる「出場実績」ではなかった。本人は当時を振り返り、高いレベルの選手たちと戦うことで、

「このレベルまで行くために、何の能力が必要なのか」

という考えが明確になったと話している。世界の選手たちと戦ったことで、自分自身の考え方のレベルも上がったという。

世界大会へ行った。それだけではない。

世界へ行くために何が必要なのかを知って帰ってきた。

この経験が、今のegoistというIGLを作っているのかもしれない。


そして28歳でRIDDLEへ

2026年7月、egoistのキャリアに新たな転機が訪れる。RIDDLEへの加入だ。

RIDDLEは7月15日、SBI e-Sportsからegoistが移籍加入することを正式発表。Meltstera、Acca、egoistの3人でSplit 2 Pro League Qualifierへ挑む新体制がスタートした。

なぜRIDDLEはegoistを選んだのか。理由はかなり明確だった。

RIDDLEが探していたのはIGLだった。

Split 1終了後にメンバー変更があり、新しい選手を探すことになったRIDDLE。Meltsteraが他のプレイヤーに相談したところ、「egoはどうなの?」と複数の人から名前が挙がったという。世界大会の決勝まで経験している実績もある。

そして実際に一緒にプレイすると、egoistは自分の考えを日本語でチームに伝えられる選手だった。

egoistの特徴として、もう一つ外せないものがある。韓国人でありながら、日本語でIGLを務めていることだ。

APEXのIGLは、ただ指示を出せばいいわけではない。敵の位置。安置。移動ルート。ファイトするのか、撤退するのか、チャンピオンを狙うのか、キルポイントを取りに行くのか——刻々と変わる状況の中で判断し、それを瞬時にチームメイトへ伝える必要がある。

それをegoistは母国語ではない日本語で行う。チームメイトがegoistの第一印象として挙げたのも、

「めちゃくちゃ日本語がうまい」

ということだった。普段の会話でも言葉の壁を感じにくく、IGLとしての日本語も非常に分かりやすいという。

ゲームの技術だけではない。世界で戦うために必要なら、言葉まで身につける。この姿勢は、後にegoist本人が語った考え方にもつながっている。


「迷いが少ない」egoistのIGL

では、egoistはどんなIGLなのか。Meltsteraはこう表現している。

「迷いが少ない」「割り切りが早い」

試合の中でチャンピオンを狙うことが難しいと判断すれば、すぐにKPを狙う動きへ切り替える。やることを決めたら、すぐ決める。この判断の速さによって、周囲も次の行動を考えやすい。Meltsteraも「合わせやすい」と評価している。

迷っている数秒が致命傷になりかねないAPEX。そこで「決断できる」という能力は、大きな武器になる。その判断力には、これまで積み上げてきた経験も生きているのだろう。


RIDDLEにできた「1本の大きな柱」

egoist加入後、変わったのは試合中だけではない。悪かった部分があれば、その日のうちに話す。「ここはこうしてほしかった」とegoist自身が伝え、次の試合では修正する。そうした姿勢によって、チームの反省の仕方にも変化が生まれたという。

さらにコーチはegoistについて、

「チームの兄貴」

と表現している。インゲームだけではない。試合後の反省会や普段のコミュニケーションまで含めてチームを引っ張っている。そして、こんな言葉まで飛び出した。

「1本の大きい柱がドンとできた」

egoist加入がチームにもたらした影響の大きさが分かる言葉だ。28歳という年齢。長い競技経験。世界大会を戦った経験。それらが今、RIDDLEというチームの中で生き始めている。


新RIDDLEはPLQ総合2位でプロリーグへ

もちろん、新しいRIDDLEはまだ完成したチームではない。ファイト時の連携や終盤のコミュニケーションなど、まだ調整すべき部分があることをチーム自身も認めている。egoistも、チームメイトがどんな考えを持ち、どんな選手なのかを理解することが重要だと話している。

それでも、新体制は最初の関門を突破した。

Split 2 Pro League Qualifierを総合2位で通過。

RIDDLEは再びPro Leagueの舞台へ戻ってきた。そして8月21日、新しいRIDDLEの本当の戦いが始まる。


egoistが目指すのは「世界大会にふさわしいチーム」

Split 2での目標を聞かれたegoistは、世界大会へ行くこと、そして決勝まで進むことを挙げている。

だが、続けて語った言葉がegoistという選手をよく表している。世界大会に行くことだけを考えるのではない。3人が、

「世界大会にふさわしいレベル」

になれば自然と上がれる。その実力があるなら上がれる。だから、

「その実力があるチームになりたい」

と語った。世界大会へ行きたい、ではなく——

世界大会へ行くのが当然と思えるほど強いチームになる。

28歳になった今も、egoistが見ているのはその先だ。


28歳。まだ、世界への途中にいる

若い才能が次々と現れるAPEX競技シーン。28歳という年齢だけを見れば、egoistは間違いなくベテラン側だ。

PANTHERA。Predator。ORB GARDEN。そしてSBI e-Sports。いくつものチームを渡り歩き、ようやく掴んだ世界大会。そこで世界のレベルを知った。そして今度は、その経験を持ってRIDDLEへやってきた。

母国語ではない日本語でIGLを務め、チームメイトからは「兄貴」と呼ばれ、コーチからは「1本の大きな柱」と評される存在になった。だが、本人が目指しているのは「ベテランとしてチームを支えること」だけではない。

インタビューの最後、egoistは自分がこれまで考えてきたことを語っている。

世界大会にふさわしい人間になる。チームに必要なことがあるなら、それができる人間になる。日本語が必要なら、日本語もしっかりやる。そして、良い成績を出すために自分のできることをやる。

28歳。

それでも、まだ世界への途中にいる。SBIで一度見た世界の舞台へ。今度はRIDDLEのIGLとして戻ることができるのか。

egoistの新しい挑戦が始まる。

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